大場大のブログ "セカンドオピニオン"

がん治療専門医による、あくまでも個人的な「つぶやき」ブログ

がん食事療法の怪 -ゲルソン療法からケトン食まで-

牛肉はダメだけど牛乳はよい。いや牛乳はNG、でも乳製品はよい。糖分はがんの餌だから絶対ダメ。だけどたくさんの果物摂取は必須。低体温はがんに良くないけど、体が冷えても野菜ジュースは大量に飲むべし。野菜に含まれる βカロチンの過剰摂取は発がんリ…

小林麻央さんのプライバシーを売った医師に告ぐ

進行乳がんのため闘病中であった小林麻央さんの訃報が流れ、多くの方がまだ悲しみに暮れている最中でしょう。病気が公になって以来、日々のブログから届く麻央さんの声や言葉が、多くの人たちの共感を呼びました。また、がんという病気と日々向き合っている…

がん治療革命?またしても根拠の薄い文藝春秋本について

文藝春秋から刊行されている『がん治療革命「副作用のない抗がん剤」』(奥野修司 著) が、非常に多くの人に読まれているようです。オビには、「末期なのになぜこんなに元気」「ノーベル賞候補」「希望の治療法」と、聞こえの良いフレーズが並んでいます。前…

一般社団法人 予防医療普及協会様へ

〈予防医療普及協会 ホームページ より〉 前回ブログの前半部分で、ピロリ菌の話をしたところ、堀江貴文氏が発起人を務める一般社団法人 予防医療普及協会様から当記事に対して、 1月5日付の貴殿ブログ内のピロリ菌に関する記事に誤りがあると考えますので、…

ホリエモンさん、意見広告になっていませんか?ピロリ菌と重粒子線の話

お正月休み中、モーニング (講談社) に連載中の人気漫画『インベスターZ』(著 三田紀房) を読んでみたところ、終始かなりトンデモな内容だったので本ブログで取り上げました。歯に着せぬ独創的な発言で、広く名が知られているホリエモンこと、堀江貴文氏が、…

近藤誠氏の嘘を明かす⑪ -医者を見たら死神と思え?子宮頸がん問題を総括する-

ビッグコミック (小学館) で連載中の問題漫画 『医者を見たら死神と思え』( 原作 よこみぞ邦彦、作画 はしもとみつお) 。近藤誠氏が監修を務め、自身の言説を忠実に漫画化することで、幅広い層への布教活動にも余念がありません。 現在発売中の最新号 (2016…

近藤誠氏の嘘を明かす⑩ -北斗晶さんの乳がんと「本物のがん」-

DeNA問題で、客観的根拠に基づいた信頼できる医療情報が希求されている現状において、またしてもこのような本が平然と書店に並んでしまうこの国の出版モラルは大丈夫でしょうか。 さて、今回も近藤誠氏の嘘をひとつ糺してみます。近藤誠理論の要のひとつに「…

DeNA問題で考える不十分な法的規制 -出版メディアの責任と医療広告について-

ここまで騒ぎが大きくなった背景には、DeNA がプラットフォームとメディアの垣根を曖昧にし、自らに都合の良い部分だけを「いいとこ取り」していたことにある。WELQ はサイトの注意書きに「情報に責任を負わない」「判断は利用者の責任」と明記していた。つ…

近藤誠氏の嘘を明かす⑨ - 川島なお美さんへのセカンド・オピニオンを総括する -

今はただ、彼女の人生の貴重な一瞬に立ち会った医師として、心静かにご冥福をお祈り申し上げるばかりです。 そのように結ばれた近藤誠氏の記事が、文藝春秋2015年11月号に突如掲載されました。最近の著作活動では必ず登場してくるジャーナリスト 森省歩氏と…

近藤誠氏の嘘を明かす⑧ -「打ち切り」の悪用 -

近藤誠氏のこれまでの言説によると、生存曲線の形が「上に凸」だと人為的操作が加わっている、とのことです。今回は別の観点からその誤謬を糺してみたいと思います。 固形がんで抗がん剤を標準治療とするのは間違いです。抗がん剤には患者を延命させる力はな…

近藤誠氏の嘘を明かす⑦ -外科医へのルサンチマン 胃がんD2郭清リスク-

ご自身の仮説を検証されたいのであれば、しっかりと医学論文を書いて評価を仰ぐべきです。しかし、論文ひとつ書くわけでもなく、漫画というツールを利用することで、テクニカルな布教活動に余念がありません。『ビッグコミック』(小学館)で連載されている…

近藤誠氏の嘘を明かす⑥ -胃がん手術のエビデンスはない?-

胃がんを手術したら寿命が延びるというエビデンス(証拠となるデータ)は存在していません。近年では、早期胃がんが発見されるようになり、切除手術をされたり、内視鏡で治療されたりするようになりましたが、やはり寿命を延ばすというデータはないままです…

近藤誠氏の嘘を明かす⑤ -謎のがん再発・死亡の法則性-

これは、近藤誠氏の思い込みによって描かれた「がん放置療法」による生存曲線イメージ図です。 なんと、近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来では、このイメージ図を見せながら、患者さんたちに「がん放置」を奨めているそうです。よく見ていただくと、…

近藤誠氏の嘘を明かす④ -誇大なリスク強調-

現在、進行乳がんで闘病中の、歌舞伎役者 市川海老蔵さんの妻 小林麻央さんも受けていた パクリタキセル(商品名 タキソール)という抗がん剤があります。近藤誠氏のベストセラー本 『がん治療で殺されない七つの秘訣』(2013 年 文春新書) の中で、この薬剤…

近藤誠氏の嘘を明かす③ -リード・タイム・バイアスの乱用-

近藤言説に決まって登場してくる ‘リード・タイム・バイアス’ 。このツールが本当に正しく使用されているのか、今回のブログで検討してみます。 現在、大腸がんに対する抗がん剤治療の進歩は目覚ましく、有効性の高い新規抗がん剤が数多く揃っています。そし…

近藤誠氏の嘘を明かす② -パニツムマブ試験の誤った解釈-

ご自身もがん患者の立場である立花隆氏との『文藝春秋』誌上対談記事が、『抗がん剤は効かない』(2011年 文藝春秋) に収められています。この内容について、結論を申し上げると根拠のない主観のオンパレード。いくら医学的に間違った解釈をしていても、第三…

近藤誠氏の嘘を明かす① -グラフの偽装-

ひとたび現場から離れて世間を見渡してみると、インチキが蔓延しているのに驚くばかりです。そのような複雑さの中で、がん患者さんは適切な意思決定が果たしてできるのだろうか、本当に心配になります。 そんな中、詐欺めいたエセ医学を見極めるリテラシーの…

BSフジの愚行とがん患者さんを食い物にするがんビジネスの横行 

昨日の10/30 (日) にとんでもない番組がBSフジで放映されました。 結論から申し上げると、あるトンデモ免疫療法グループの単なる宣伝 (プロモーション) に終始した番組でした。もしかしたら、このグループから宣伝費用を貰って制作されたのではないかと疑わ…

脱・近藤誠理論のがん思考力

最近、対談形式にして、その出版勢力をさらに拡大しつつある元慶應義塾大学放射線科医師 近藤誠氏ですが、彼の言説にある「思考破綻」をすべて明らかにした新刊が本日発売となりました。 近藤理論の根拠がいかに客観性を欠いているか。自身にとって都合のよ…

小林麻央さんのブログと千代の富士さんの訃報について

癌の痛みで限界を感じて、ようやくようやく薬を飲んだとき、身体の痛みが和らいで、なんだかわからないけれど、「許されていく 」感覚がしたのです。 そのときの痛みから 解放されていく「 和らぎ 」が今でも忘れられません。 http://ameblo.jp/maokobayashi…

子宮頸がん (HPV) ワクチン問題を巡って 医学vsイデオロギーの果ては...

子宮頸がんは若年女性にも発生し、20~30 歳代の女性が罹患する悪性腫瘍のうちで第1 位を占めています。日本では現在、年間10,000 人以上が新たに子宮頸がんに罹患し、約3,000 人もの女性が子宮頸がんで死亡していると推定されています。 女性ひとりひとりの…

経歴を詐称する者に「食べものだけでがんが消えた」と言われても…

小林麻央さんの乳がん報道にみられたメディア対応は、相も変わらずワイドショーのネタ扱いとしてでしか、「がん」という病気のことを報じることができないクセを露呈しました。一方で、書店に行くと「がん」を扱う棚には、安直ながん克服方法のようなエセ医…

'がん放置理論' の蔓延は悪魔の沙汰 -月刊誌『Voice』掲載記事より-

最新刊 『Voice』 (PHP研究所) 4月号に寄稿させていただきました。若干 Voice 的アナロジーも含めていますが、その拙記事を本ブログでも (注; 実掲載とは若干異なります) アップさせていただきます。 巷に頻繁に登場する、 '近藤理論' を中心に据えた議論に…

子宮頸がん検診の有効性を歪める嘘

ビジネスの世界では、何かを主張したり、何らかの意思決定を下す場合、それらの根拠は数字で示すように、と教えられるのではないでしょうか。一方で、都合よく巧みに数字を操ることで、事実 (ファクト) が歪められることも多々あります。数字自体は嘘をつき…

がんの自然治癒について -ケリー・ターナー本の虚-

書店のがんコーナーには、正当な医学書が置いてあるコーナーとは別扱いで、相も変わらずがんの自然治癒を謳った「奇跡 (ミラクル) が起きる」系のさまざまな本が並んでいます。はたまた巷のクリニックの中には、自称名医を名乗り、「食事療法でがんが消える…

「がん治療の95%は間違い」の嘘 -川島なお美さんのメッセージから学ぶこと-

故 川島なお美さんの件で問題にされている近藤誠氏について、川島さんの闘病手記『カーテンコール』(新潮社) の序章で、以下のように叙述されています。 それからもうひとつ。 様々な著書で有名なM(近藤)先生の存在です。 先生の本でためになったこともたく…

川島なお美さん闘病手記「カーテンコール」で明らかになったこと

川島なお美さんの闘病手記「カーテンコール」(新潮社) が本日発売され、目を通してみました。芸能人ならではのリテラシー問題も垣間みえましたが、生活 (=life) の質というQOLではなく、人生 (=life) の質、生き方 (=life) の質というQOLを何よりも大切にさ…

近藤誠理論の本質はディベート用のゲーム

先日読んだ『本質を見抜く「考え方」』(中西輝政 著) の中に、多くの共感や学びがありましたので、今回はそれらを参考にさせていただきながら、近藤言論に潜む危うい「本質」を考えてみます。 まず一般的な話として、さまざまな言い分、見解などと接した場合…

近藤誠氏の川島なお美さん記事に思うこと -追記-

現在発売中の週刊新潮 (11月26日雪待月増大号) にて、ある「ふとどき者」についてコメントさせていただきました。この新潮記事にみられるように、近藤誠理論は思想や信仰のようなオカルトの類として取扱うのが賢明でしょう。医学枠として議論すると厄介なだ…

ある東大医師の不十分な論理構造 -後編-

後編となります。 (上氏) 私は、彼女の受けた治療は合理的だったと思う。彼女が自分で考え、自分で選択した、彼女らしい闘病だったのではなかろうか。 非常に耳障りのよい発言にみえますが、一体どこを向いて、誰に賛同を求めておられるのでしょうか。「合理…